銀行でカードローンを利用しようと思った時、なぜかそこにオリコの名前が出て来るのを見かけたことがある方はいらっしゃいませんか?
オリコに限らず、銀行の商品なのにオリックス・クレジットやSMBCコンシューマーファイナンス(プロミス系)、アコムなどの名前が出てくることは、珍しくありません。
銀行のカードローンの申し込みの中でこれらの信販会社や消費者金融の名前が出て来る時、これらの業者の立場は『保証会社』となっています。
保証会社とはどのような役割をし、なぜ銀行ローンにオリコをはじめとする業者が『保証会社』として関わっているのでしょうか?そんな疑問を持たれた方に向けて、保証会社と銀行の関係を詳しくご説明します!
保証料を受け取り審査から債権の管理まで担当するのが保証会社!
保証会社とは、簡単に言えば銀行から保証料を受け取り、カードローンの審査から債権の管理まで行う消費者金融や信販会社のことを言います。では、なぜ銀行カードローンの場合その銀行だけで融資の審査や債権の回収を行わないのか、その理由を見てみましょう。
貸金業法の改正で危機になった業者が銀行の傘下になったから!
貸金業者である消費者金融などが護るべき法律である貸金業法が改正される前には、お金を貸す際に法律上無効とされる金利と実際に罰則が課される金利の間に差がありました。
- 民法上無効とされる金利…20%以上(利息制限法による規定)
- 罰則が科される金利…29.2%(出資法による規定)
法律の定めによると20%以上の金利は無効のはずですが、罰せられないことからこの2つの金利の間の金利でお金を貸し付けていた会社も多く、その金利のことをグレーゾーン金利と言います。
ですが、貸金業法が改正され、グレーゾーン金利が撤廃されたことによって利息の上限が下がり、実質の収入が減ったことで持ちこたえられなくなる業者が多く出ました。さらに、払い過ぎた金利分を取り戻す過払い金請求の動きも起こり、さらに業者に追い打ちをかけました。
そういった背景から、お金の貸し付けを行っていた消費者金融は打撃を受け、潰れるところも出てきたり、生き残るために銀行の傘下に入ったりする業者が出てきました。そのため、銀行と消費者金融の結びつきが強くなったという背景があります。
例えば、同じグループの銀行と消費者金融には、以下のような例があります。
- 三菱UFJフィナンシャル・グループ…アコム
- 三井住友フィナンシャルグループ…SMBCコンシューマーファイナンス(プロミス)
- 新生銀行グループ…ノーローン
また、クレジットカードのキャッシング機能にもグレーゾーン金利が適用されていた場合もあったので、これは信販会社にもある程度関係のあることと言えます。
銀行には個人融資のノウハウがなかったから!
そこで、無担保の商品の審査に慣れている消費者金融を保証会社とし、審査や債権の管理を任せることで消費者金融が持っているノウハウを活かす方向に進んだというわけです。
その流れができたので、同じグループになっている銀行と業者ではなくても、提携することによって銀行の商品の保証会社になる消費者金融や信販会社も出てきました。
オリコも、自社の事業の紹介の部分で、金融機関と提携することによって個人向けの融資保証業務を行っていることを案内しています。現在では500超の金融機関と提携して、保証業務を行っています。
保証会社が行っていること
では、実際に保証会社がどんな事を行っているのか、具体的に見ていきましょう。
保証会社は、主に以下の2つの仕事を行っています。
- カードローン申し込み時の審査
- 債権の保証・管理
まずは、カードローンの申し込みがあった時の審査です。
それから、債権の保証については、万が一申し込み者が返済ができない状態になった時、保証している銀行に対してその債権を申し込み者に代わって返済しなければいけません。これを代位弁済と言います。
その代金を保証会社が全て負うのではなく、保証会社が債権の回収を行う形を取るため、申し込み者は代位弁済後は保証会社に対して支払いを行うのですが、その督促や返済の管理を行うのも保証会社の仕事です。
保証会社としては、万が一申し込み者が返済をきちんと行ってくれなかったら、銀行に対してその金額を建て替えた上で債権の回収を行わなければいけないことになります。そのため、保証会社が保証できると考えた人しか審査に通しません。
例えば、オリコが保証しているみずほ銀行カードローンでは、カードローンの利用条件として以下の内容を挙げています。
同じように、三菱UFJフィナンシャル・グループの「バンクイック」を見てみても、カードローンの利用条件として保証会社であるアコム(株)の保証が受けられることを挙げています。
それでは、実際にどの業者がどの銀行カードローンの保証会社になっているのか、具体的に見てみましょう。
この銀行カードローンはこんな業者が保証会社をしています!
それでは、銀行のカードローン商品と、どのような業者が保証会社をしているのか、いくつか例を挙げて見ていきたいと思います。
ここで紹介している以外にも保証会社をしている業者はありますし、また同じ保証会社が保証している銀行が他にもありますが、ここでは一例をご紹介しています。
オリコ(オリエントコーポレーション)
最初に保証会社の例として紹介したオリコは、以下のような銀行の保証会社をしています。
- みずほ銀行「みずほ銀行カードローン」
- スルガ銀行「リザーブドプラン」※スルガ・キャピタル・ダイレクトワンの場合もあり
- みちのく銀行「トモカ」
- 広島銀行「マイライフプラス」※ひろぎんカードサービス(株)・SMBCコンシューマーファイナンスの場合もあり
オリックス・クレジット
オリックス・クレジットは、以下のような銀行の保証会社をしています。
- オリックス銀行「オリックス銀行カードローン」※新生フィナンシャル株式会社の場合もあり
- 荘内銀行「カードローン1000」
- りそな銀行「りそなプレミアムカードローン」
アイフル
アイフルは、愛媛銀行「カードローン・サポート」保証をしています。ただし、四国総合信用株式会社が保証会社となることもあります。
アコム
アコムは、以下のような銀行の保証会社をしています。
- 三菱UFJフィナンシャル・グループ「バンクイック」
- 北海道銀行「ラピッド」
- 山形銀行「山形銀行カードローン」
- 青森銀行「Aキャッシング」
- 北陸銀行「カードローンスーパーNOW」※北陸カードの場合もあり
SMBCコンシューマーファイナンス(プロミス)
SMBCコンシューマーファイナンスは、以下のような銀行の保証会社をしています。
- 三井住友銀行「三井住友銀行カードローン」
- 長野銀行「リベロ」
- 福井銀行「カードローン」
- 福岡銀行「ナイスカバー」※ふくぎん保証(株)の場合もあり
- 沖縄銀行「チェキット」
- 住信SBIネット銀行「Mr.カードローン」
- ジャパンネット銀行「ネットキャッシング」
保証会社の立場だとオリコの審査が厳しくなる!?その3つの理由
保証会社が銀行の保証をし、カードローンの審査を行っているのなら、審査の厳しさは同じになったり、審査の速さも似たようなものであったりしそうですが、実はそうでもないんです。
なぜかと言うと、保証会社という立場から審査するのと、自社の商品に関して審査を行うのとでは、状況が違うからです。
実は、オリコをはじめとして、消費者金融や信販会社が保証会社として審査をする場合、自社の商品の審査を行うよりも厳しめになるという事実があります。
では、なぜそう言えるのか、その3つの理由を詳しく確認しましょう。
理由その1、銀行の商品の方が金利が低いこと
銀行の商品は、消費者金融や信販会社の商品よりも金利が低くなっています。では先ほど挙げた銀行を例に見てみましょう。
保証会社がオリコの商品(オリコの商品の金利…4.5~18.0%)
- みずほ銀行…4.0~14.0%
- スルガ銀行…3.9~14.9%
- みちのく銀行…4.9~14.0%
- 広島銀行…変動金利3.475~13.975%、固定金利8.0%
保証会社がオリックス・クレジットの商品(オリックス・クレジットの商品の金利…3.0~16.8%)
- オリックス銀行…3.0~17.8%
- りそな銀行…3.5~12.475%
- 荘内銀行…3.5~13.5%
保証会社がアイフル(アイフルの商品の金利…4.5~18.0%)である愛媛銀行の商品の金利は、5.0~14.6%です。
保証会社がアコムの銀行(アコムの商品の金利…3.0~18.0%)
- 三菱東京UFJ銀行…4.6~14.6%
- 北海道銀行…2.0~14.95%
- 山形銀行…4.5~14.6%
- 青森銀行…4.8~14.5%
- 北陸銀行…12.6~14.6%
保証会社がSMBCコンシューマーファイナンスの銀行(プロミスの商品の金利…4.5~17.8%)
- 三井住友銀行…4.0~14.5%
- 長野銀行…5.5~14.5%
- 福井銀行…5.9~14.6%
- 福岡銀行…8.5~14.5%
- 沖縄銀行…固定金利14.6%
- 住信SBIネット銀行…2.49~14.79%
- ジャパンネット銀行…2.5~18.0%
このように、多くの場合銀行の商品の方が金利が低くなっています。ということは、金利が低い分きちんと返済されないと利益が上げられないことになりますよね。そのため、審査が厳しめになるのです。
理由その2、銀行の商品の方が大口融資に向いていること
銀行の商品には、大口融資ができるものが多くあります。それに対して、消費者金融や信販会社の融資額は、あまり高くないのが一般的です。保証会社となっている消費者金融や信販会社の商品をいくつか挙げて、比較してみましょう。
保証会社がオリコの商品(オリコの「CREST」の最大利用限度額…500万円)
- みずほ銀行…1,000万円
- スルガ銀行…800万円
- みちのく銀行・広島銀行…500万円
保証会社がオリックス・クレジットの商品(オリックス・クレジットの「VIPローンカード」の最大利用限度額…800万円)
- オリックス銀行・りそな銀行…800万円
- 荘内銀行…1,000万円
保証会社がアイフル(最大利用限度額500万円)の商品である愛媛銀行の商品は、最大利用限度額が500万円までです。
保証会社がアコムの商品(アコムの最大利用限度額は800万円)
- 三菱東京UFJ銀行…500万円
- 北海道銀行…800万円
- 山形銀行・青森銀行・北陸銀行…500万円
保証会社がSMBCコンシューマーファイナンスの商品(プロミスの最大利用限度額は500万円)
- 三井住友銀行…800万円
- 長野銀行・福井銀行…500万円
- 福岡銀行…300万円
- 沖縄銀行…200万円
- 住信SBIネット銀行・ジャパンネット銀行…1,000万円
このように、一部の場合を除き、保証会社の商品とその保証会社が保証をする商品の最大利用限度は、同じか銀行の商品の方が高くなっています。多くのお金を貸せば貸すほど、返済できなかった時のリスクが高まりますので、当然審査が厳しくなるというわけです。
理由その3、自社商品の方が保証会社のもうけになること
実は、保証会社としては、自社の商品を借入してもらった方が利益が大きいという事実があります。自社の商品を利用してもらえれば、その分の利息は全てその消費者金融や信販会社のものになります。
ですが、保証会社となる場合、受け取れるのは保証料のみです。そのため、審査も行い、保証会社として審査を通した人の返済が滞った場合には代位弁済を行った上に、債権の回収もしなければいけません。正直な所、割に合わない部分があるということですね。
さらに、自己破産などがあれば、債権が回収できない危険性もあります。自社の商品を利用してもらうのなら、利息全てを利益とできるので、自己破産などがあっても他の利益で補える可能性がありますが、保証会社となっている場合はそうもいかない可能性があります。
それらの理由から、できれば保証会社という立場の時には特に、信用できない人にはお金を貸したくないわけです。だから、自社の商品の審査をする時よりも基準が厳しくなるんですね。
ノウハウを活かして銀行商品の保証をするのが保証会社です!
以上のことから、これまでに培ってきたノウハウを活かして、銀行の商品の保証を行うのが保証会社だと言えます。そこで、保証会社の役割を、もう一度まとめます。
- 銀行の商品の申し込みがあった時審査を行う
- 返済が滞ったら債権の管理をする
保証会社という立場で関わっている時には、審査は自社の商品に対しての審査よりも厳しめになるのが一般的です。
銀行の商品の中にも即日融資が可能なものがありますが、審査に不安があるけど急いでお金を借りたい人は、以上の事を考えると最初から消費者金融などを利用する方が安心な場合もあります。
審査に不安が無ければ金利が低めの銀行の方がお得ですが、即日融資ができないところも多いので、現状によって申し込み先を選び分けると上手にカードローンが利用できますね!