人として、あまりカッコ悪いところは見せたくない、というのは誰もが思うところです。
お金に関してもそう。やっぱり貧乏と思われるよりはお金持ちと思われたい部分はありますよね。
カードローンの申し込みにしても、改めて自分の年収を見て「もうちょっと多い方がいいかな…」なんて、ちょっとプラスして記入していることはありませんか?
やりたくなってしまう気持ちはとってもわかりますが、年収などウソをつくのは非常にリスクが大きい行為なのをご存知ですか?
年収はちょっとぐらいごまかしても大丈夫?…じゃない!
お金を借りる上でも重要な情報と思えるのが「年収」。年収は借り入れ金額に直結する部分もありますから、少しでも多ければそれだけ大きな金額を借りるチャンス。
もしごまかせるスキがあるのなら、ちょっといいカッコして…なんて思っちゃう方もいるのではないでしょうか?
しかし!もちろんですがウソの年収を記載するのはNGですし、バレる可能性も高いです。その理由をしっかりと解説していきましょう。
収入証明書類の提出が必要だと、まずバレる
カードローンに詳しい方ならご存知のことと思いますが、カードローンで一定以上の金額を借り入れる場合、「収入証明書類」というものが必要になります。
収入証明書類として認められるのは
- 源泉徴収票
- 確定申告書
- 納税通知書
- 給与明細書(賞与明細も含む)
などなど。いずれも年収がしっかりと記載されている、あるいは年収を予想することが容易な書類ばかりです。
仮に年収が300万円の方が500万円と偽って申し込みをしたとしても、収入証明書類の提出を求められたらその時点でアウトなのがおわかりでしょうか。
収入証明書類が不要なカードローンでも油断禁物
しかし最近であれば「○○万円までなら収入証明書類の提出が不要!」なんてカードローンも増えていますね。主に銀行系カードローンは収入証明書類の提出ナシでOKことをウリにしている商品も多く見られます。
以下は主な大手銀行カードローンにおいて、収入証明書類が必要となる借り入れ希望限度額です。
会社名 | 収入証明書類の必要額 |
---|---|
三井住友銀行 | 300万円 |
三菱東京UFJ銀行 | 100万円 |
楽天銀行 | 300万円 |
イオン銀行 | 300万円 |
みずほ銀行 | 200万円 |
いずれも100万円を超えており、最高で300万円までの借り入れなら収入証明書類が不要となります。正直そこまでの金額を借りる人はそうそういませんから、年収をごまかしても大丈夫だろう…なんて思う方もいるかもしれません。
しかし!それは甘いです。
確かに基本的には上の表の金額を超えない限り収入証明書類の提出は不要ですが、それとは別に会社(銀行)が「提出してもらう必要があるな」と思ったらいつでも提出を要求することが出来るんです。
なので、「この仕事でこの勤続年数でこの年収はちょっと多いのでは?」と疑問に思ったら収入証明書類の提出を求めてくる可能性も十分にありえます。もちろんそこでウソをついていることがバレたら…結果はわかりますよね。
審査をする方もバカではありませんので、これまでの顧客データからある程度の傾向はわかっています。勤続年数と勤務先の規模、職種からある程度の年収を割り出すことが出来るため、年収だけ上げても不自然さが残るだけになります。
不自然さを感じればきちんと証明できるものを用意してもらう…というのは自然な流れです。
また、お給料を振込でもらっている方がほとんどかと思いますが、給与振込先の銀行のカードローンを申し込んだ場合は年収をごまかしていても預金口座のお金の動き方でどのくらいの年収か把握されてしまうことも。
もちろんバレたら申し込み不可!ブラックや起訴も!?
かつ、そのカードローン会社んでの社内ブラックリストに名前を連ねる可能性が十分にあります。わざわざ情報を偽って申し込んで来たのですから、警戒対象となるのは当然と言えるでしょう。
もし偽ったまま申し込みが通り、その後発覚した場合は直ちに借り入れが停止され、借り入れた分のお金は一括返済を求められることになるでしょう。
最悪、詐欺罪として起訴されたり、民事で損害賠償を請求される可能性もゼロとは言えません。
軽い気持ちでウソをつくと、とんでもないしっぺ返しがくるかもしれませんよ。
消費者金融の場合はさらに年収のごまかしは効かない!
「銀行のカードローンがダメなら、消費者金融で…」なんて思っている方。それは間違いです。
銀行のカードローンと比較すると、消費者金融の方がごまかしが効きません。
なぜなら、消費者金融には「総量規制」という非常にシビアなな法律があるからです。
貸金業者に適用される法律「総量規制」とは?
消費者金融やクレジットカード会社など、お金を貸したりする業務形態をもつ会社を「貸金業者」といいます。
貸金業者には「貸金業法」という法律が適用されており、これを守らなければなりません。
貸金業法の中に定められているもののひとつが「総量規制」です。
総量規制の中には、「年収の3分の1を超える金額を(消費者金融は)貸してはならない」という決まりがあります。
銀行は総量規制の法律が及ぶ対象、「貸金業者」ではないので年収に関係なくお金を借りることが可能なのですが、消費者金融は貸金業者のためこの法律を遵守しなければなりません。
しかも、この規則を破ると刑事罰が与えられてしまうのでなおさらです。
こうならないように、消費者金融は特に年収については慎重に審査をする可能性が高いです。
消費者金融の方が収入証明書類の提出がシビア
また、先ほど銀行のカードローンはそれぞれの金額を超える際に収入証明書類が必要と記載しました。消費者金融も同様に、一定の金額以上の借り入れをする場合は収入証明書類を提出する必要があります。
これも総量規制によって決められている仕組みであり、すべての消費者金融において以下のように共通しています。
- 1つの会社から50万円を超えて借りる場合
- 他の会社からの借り入れと合わせて借入額が100万円を超える場合
そのため、銀行のカードローンに比べるとかなりの確率で収入証明書類を提出しなければならないことがわかります。
年収を偽って申し込んだとしても、書類の提出を求められる可能性は銀行カードローンよりもずっと高いと言っても過言ではありません。
他社からの借り入れもかなりシビアに見る
それだけではありません。先ほどの収入証明書類を提出する条件ですが、前者の「1つの会社から50万円」というのは、自社だけで気をつければわかることです。
しかし、後者の「他の借り入れを合わせて借入額が100万円を超える場合」という点は非常にシビアに見なければならないのです。
住宅ローンや車のローンなどはもちろん、一時的な治療費といった緊急性が高いものも除外となります。
また、銀行のカードローンや銀行が発行したクレジットカードのキャッシング枠も対象外となります。
仮に銀行のカードローンで100万円借りていたとしても消費者金融からの借り入れが0円であれば、この時点では消費者金融1社からの借り入れが50万円を超えない限り収入証明書類を提出する必要はありません。
できるだけ多くの金額を借りたいからと、他社からの借り入れがあるにもかかわらず「ない」と申告している方もちらほら見受けられますが、消費者金融にとっては死活問題にもなりますので、こういった点は徹底的に調べます。
そのため、後述します信用情報などを利用して他からの借り入れがあるか、あるとしたらそれがいくらくらいか…というチェックは厳しく行うと言っていいでしょう。
年収をごまかすのもNGですが、他社からの借り入れを隠すのもかなりのNGです。どちらもダメなんですけどね(笑)。
年収だけじゃない!職業に関わるウソもかなりのNGに
すべてにウソをついてはいけない、というのは大前提です。が、年収を偽るのと同じくらいに盛ったりするのがNGな項目もあります。
それが職業や勤務先に関わる情報です。
一見重要視されるようには思えませんが、カードローンの審査の上でこのあたりは実はとっても大切な情報なんです。
ごまかしてしまうケースとその影響について解説していきましょう。
勤続年数を偽っても蓄積されたデータでバレる!?
カードローンの審査で重要視されている項目のひとつである「勤続年数」。
これはもちろんですが長いほどよく、短いほど審査では不利になりやすいです。
「転職したばかりで勤続年数が短いからちょっと盛ってしまおう…」なんて思っていませんか?
しかしそういったものもバレてしまう可能性は十分にあります。
長くカードローンの審査をしていると、ある程度業種によっての平均的な給与額がわかるようなデータがあります。それに照らしあわせて、乖離が見られると「おかしいな?」とわかるわけですね。
収入証明書類が不要な程度の金額の借り入れでも怪しいと思えば収入証明書類の提出を要求することが可能ですし、保険証の提出を求めればすぐにわかってしまいます。
これは勤続年数だけでなく年収についても同じことが言えますね。
アルバイト・パートなのに正社員と偽るのもバレる
アルバイトやパートだけど、正社員の方が印象がいいから…と、ついつい正社員と記入したくなる気持ちはとてもわかります。
しかしこちらも簡単にバレやすいところですね。
その一番の理由は「保険証」です。正社員であれば保険証の種類は「社会保険」となり、
- 健康保険組合
- 共済組合
- 健康保険協会
のいずれかの記載があるはずです。
逆にアルバイトやパートの方の場合は、(扶養枠内でない限り)「国民健康保険」と記載されています。
運転免許証がなく、本人確認書類として保険証を提出した場合、「正社員」と言っていても保険証が国民健康保険であればバレバレもいいところです。
もちろん運転免許証を提出すれば基本的に保険証を提出する必要はありませんが、カードローンの中には申込時に「保険証の種類」を申告しなければならない場合もあります。
ここでもウソをつけば乗りきれる可能性もあるかもしれませんが…後々他の書類の提出を求められた時には万事休す。
アルバイトやパートでも利用可能なカードローンは多いですから、わざわざ自分からリスクを負う必要はないと思います。
無職が職業を偽るのもバレるのでムリ!
あと多いのは、無職の方がどうにかしてカードローンを利用するために働いているフリをして申し込む…というケースでしょうか。
無職でもお金を借りられる!として、派遣に登録すればいいというアイデアが一般的のようですが、ほかにも「自営業」として申し込むケースもあるでしょう。
派遣会社に登録している場合、仕事の内容が週5日フルタイムでの契約であれば別ですが、日雇いのような場合は収入が安定しないため収入証明書類の提出を求められる可能性があります。
「とりあえずお金を借りたいから登録だけした」という方の場合、この時点でアウトになるでしょう。
登録はしているのでこの部分に関してはウソをついているわけではありませんが、年収などの点では偽っていると思われても仕方ない部分がありますね。
自営業として申し込むケースの場合は、借り入れの金額にかかわらず収入証明書類の提出を求められることがほとんどなので、こちらは自営業と書いた時点でアウトといってもいいかもしれません…。
ウソをついてもバレてしまう、最大の理由「信用情報」
しかし、「どうしてウソをついたのがバレてしまうのか」と疑問に思ったことはありませんか?
もちろん「零細企業の正社員だけど年収が2000万円ある!」なんてかなり盛ったウソをついたら一目でバレるのは自明ですので、そのようなウソは通じるほうがおかしいと思うでしょう。
例えば「Aという会社からお金を借りている」という事実を隠してBという会社に申し込んでも、Aからお金を借りていることがバレて審査に落ちる、というような「お金を借りているのはAしか知らないはず」というケースなどです。
どうして知り得ないはずの情報を知っているのか?そのヒミツは「信用情報」が握っています。
お金に関わる大切な情報、それが「信用情報」
「信用情報」とは、簡単にいえばお金に関わる情報です。
カードローンだけではなく、住宅ローンやクレジットカードを作成する際に申込書に記入する情報がたくさんありますよね?それらはすべて「信用情報」の一部といって構いません。
この情報は申込先の会社はもちろん、信用情報として「個人信用情報機関」というところに提供することになっています。
「勝手に情報提供するなんて!」なんて思いましたか?もちろん、きちんと「個人情報の取扱について」という項目で規約が記載されています。申し込みをする時点で、規約に同意をしているはずです。
具体的な内容は住所氏名から始まり勤務先・勤続年数・年収といった勤務先に関する項目や、居住年数・居住形式・家族構成といった非常にコアな部分まで網羅されています。
もちろん自分がその情報を記入しない限り、勝手に知らない間に調べられて情報が登録される…なんてことはありません。
信用情報機関に加盟しているなら他社登録の情報もわかる
個人信用情報機関は金融機関の子会社などではなく、第三者機関として独立しています。
また、日本には3つの個人信用情報機関があり、それぞれで会員の傾向が違います。
名称 | 会員の傾向 |
---|---|
株式会社日本信用情報機構 | 消費者金融・銀行・クレジットカード会社など |
株式会社シー・アイ・シー | 消費者金融・クレジットカード会社など |
全国銀行個人信用情報センター | 銀行・信用金庫・農協・漁協など |
それぞれの信用情報機関において、加盟する会員は登録された情報を閲覧することが可能です。
信用情報は間違っている情報であれば訂正をすることは可能ですが、事実を隠すことは出来ません。
もちろんこういったことがバレると審査に通るわけがありませんから、ごまかしはムダということですね。
別の信用情報機関とも情報は共有される!
仮に、会社Aが「全国銀行個人信用情報センター」にしか加盟しておらず、かつ会社Bが「株式会社シー・アイ・シー」にしか加盟していない状況であれば、それぞれ加盟している個人信用情報機関が違うため、年収などもウソをついてもバレないのでは?と思いますよね。
確かに、個人信用情報機関はそれぞれ独立しているため、B社の持つ情報を全国銀行個人信用情報センターに登録することは出来ません。
しかしこの3つの個人信用情報機関は、それぞれで情報の共有を行っているんです。
名称 | 対象となる信用情報機関 | 共有する内容 |
---|---|---|
CRIN | すべての信用情報機関 | 延滞などの情報、本人申告情報 |
FINE | 株式会社日本信用情報機構 株式会社シー・アイ・シー |
総借入残高など |
極端に言えば、1つの個人信用情報機関に情報が登録されているのならば、3つの個人信用情報機関いずれからも情報が閲覧できるといってもいいでしょう。
リスクの方が大きすぎる!素直に正しい情報を
いかがでしたでしょうか。年収や勤続年数など、こちら側がいくら偽ったとしても、結局は
- その会社の蓄積されたデータ
- 信用情報
- 証明できる書類の提出
のいずれかのポイントでほとんどのウソはバレてしまうことがおわかりいただけたのではないでしょうか。
例えば年収が568万円だったから570万円と書いた…程度のかわいい盛りであれば見逃してくれる可能性は十分にあります。しかし10万円単位での盛りは借り入れ金額などに大きな影響を及ぼします。
ウソを記述していたことがバレてしまったら、審査に落ちるのは当然としてもその会社のブラックリストに入ってしまい、もう二度とお金を借りることは叶わないかもしれません。それだけではなく、極端な話ですが詐欺として訴えられる可能性もないとは言えません。
特に消費者金融の場合は刑事罰がありますから、罰則を受けてしまったら営業にも大きな影響がでます。損害賠償を求められても文句は言えないでしょう。
さすがにそういった状況になることはないでしょうが、何かしら偽ってカードローンを申し込むということは、その可能性も秘めたことをやろうとしている、ということです。
今ではカードローンの種類や対象とする層も非常に多様化し、無職の方がお金を借りるのはムリですが、アルバイトやパートの方、専業主婦の方であっても利用できるカードローンは増えてきています。
大きな金額はなかなか借りられないとは思いますが、10万円~30万円程度であれば十分に借り入れも可能かと思います。
切実に借りたい、という方はついつい考えてしまうことかもしれませんが、リスクの方が大きいことです。きちんと正しい情報を記入して申し込みを行いましょう。